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い草農家との出会いと気づき
2025.07.18
初めて農家を訪れた日のことを、今でもはっきり覚えています。10人ほどの農家が集まり、未来について語り合っていました。みんな口を揃えて、話すことは「挑戦したい気持ちはある。でも、今は自分の事業を守るので精一杯なんです。」誰もが同じように不安と葛藤を抱えていた。
一人ひとりが、自分なりの農法や哲学を持っている。しかし、それは共有されず、広がっていくこともない。その閉じた空気に、もどかしさと同時に、強い問題意識を感じました。

い草農家の方々の工場を訪問すると、そこには山のように積まれたい草の端材があった。丹精込めて育てられたはずのい草が、使われることなく廃棄されていく。
「本当は全部、大切に育てたものなんです。」農家がそう語った瞬間、胸が締めつけられました。
せっかく作られたものが「不要」とされ、ただ捨てられてしまう。その現実を前にして「勿体ない」という想いが込み上げました。同時に、「この状況を変えたい」という決意があの時、あの瞬間に芽生えた気がします。
その頃、よく通っていた「くらしの発酵ホテル」で体験した出来事を思い出しました。アロマミストの香りが漂う中で、心が深くリラックスし、「自分自身を取り戻す」ような感覚を覚えたのです。
「匂いは記憶を呼び起こす。」その実感が、い草の可能性を大きく広げました。畳の材料としてだけではなく、香りとして人の心に寄り添えるのではないか。そう気づいたとき、廃棄される端材のい草が「新しい形」として蘇る未来が見えました。

農家が抱えていた悔しさや悲しみ。その声を形にするように生まれたのが「い草アロマミスト」というプロダクトのアイデア。廃材として扱われていたい草を、新しい命を持ったプロダクトへと変える。
農家の想いを未来へとつなげ、「勿体ない」という言葉を希望に変える。い草農家との出会いがなければ、この発想は、生まれていなかったと思います。
現代を生きる多くの人は、仮面をかぶり、建前で生きている。また、そうするしかない、状況に苦しんでいる人もいるかと思います。
だからこそ、い草の香りで「素の自分」に戻ってほしい。懐かしい日本の風景や、心が安らいだ頃を思い出してほしい。い草の香りは、そのきっかけになれる。そう私は思っています。
い草はただの素材ではありません。世代を超えて受け継がれてきた日本人の「想い」そのものだと感じています。農家との出会いは、その想いに触れる時間でもありました。
廃棄されるい草を「香り」として蘇らせることで、農家の哲学や情熱が形になる。その想いを未来につなげていくこと。それこそが、私たちの役割だと感じている。

もしあの日、い草農家と出会っていなければ、この決意は生まれなかったと言っても過言ではありません。「勿体ない」という想いから始まったプロダクトは、今では「人を自然体に戻す香り」として歩みはじめています。
い草を通じて、誰かが本来の自分に立ち返る瞬間を届けたい。そして、日本人が大切にしてきた価値観を、未来へとつなげていきたい。
このような思いを胸に、IGUSABIでは、プロダクト開発を日々行なっています。
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